日本人の女性宇宙飛行士も月面に?
すでに政府は内閣府、文部科学省、経済産業省、国土交通省、農林水産省によるプロジェクトチームを立ち上げ、今後数千億円に上るとされる関連予算の調整などに当たっています。
民間企業の動きも活発です。宇宙開発といえば、これまで日本企業の参加は三菱電機や三菱重工業、NECなどに限られていました。ところが、アルテミス計画では、有人月面探査車を手掛けるトヨタ自動車、ブリヂストン、月面基地の建設で清水建設や鹿島建設、ミサワホームなどが名乗りを上げているのです。
2022年の世界の宇宙市場は約56兆円とされ、アルテミス計画が本格化すればさらに市場は拡大するとされています。
大規模な施設や装置だけでなく、ロボットアームや断熱材、AI、3Dプリンタなどの技術を活用する中小の企業も、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で研究開発を進めています。さらに、月での生活を想定し、食品企業や商社なども意欲を見せており、「月ブーム」「宇宙ブーム」の様相も呈してきました。

一方、2024年1月に日米が合意した取り決めによると、NASAが日本人宇宙飛行士に2回にわたり月面に着陸する機会を提供することになりました。日本側は女性宇宙飛行士を含めたい考えで、今のところは2000倍を超す倍率をくぐり抜けてJAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士候補に決まった諏訪理さんと、米田あゆさんが有力視されています。
当初より計画が遅れているとはいえ、月に定住し、やがて火星を目指すという計画は壮大そのもの。1年や2年、計画が遅れたとしても、計画の大きさからすれば、大した問題ではないのかもしれません。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。