壮大なアルテミス計画の目的とは
アルテミス計画の最大の目的は、人類の持続的な活動を月で成し遂げることです。
計画は、地上からの輸送機=ロケット(SLS : Space Launch System)、有人宇宙船(Orion)、月面着陸機(HLS : Human Landing System)、月を周回する有人拠点(Gateway)、商業月面輸送サービス(CLPS : Commercial Lunar Payload Service)などによって構成されています。
とくに、月の周回軌道に設置する有人の中継宇宙ステーション「ゲートウェイ」の建設や、将来の有人火星探査を見据えた技術実証を行うことなどは大きな特徴と言えるでしょう。
計画はどう進むのでしょうか。
第1期は、無人宇宙船による月の周回飛行です。主力となる宇宙船「オリオン(Orion)」と打ち上げロケットの試験を目的として2022年11〜12月に実施されました。オリオンは月面まで約100キロの地点まで近づき、月の周回軌道を飛行した後、無事に地球へ帰還。第1期のプログラムは成功しました。
第2期は有人宇宙船による月の周回飛行試験です。アルテミス計画で最初の有人ミッション。宇宙飛行士4人がオリオンに搭乗し、さまざまな実験をこなしながら月の周回軌道を飛行して地球に帰還する計画です。当初は2025年9月に実施の予定でしたが、計画は2026年4月に延期されました。
その理由は第1期の試験飛行にあります。
アルテミス計画を主導するNASAによると、無人のオリオンが地球の大気圏に再突入した際、想定を超える高温となったことから原因究明が必要になったためとしています。対策としては、オリオンの再突入時の軌道を変更して宇宙船の温度上昇を抑制することで、宇宙飛行士の安全を確保できると結論付けたということです。