おわりに

 2016年の大統領選挙に当選して大統領となったトランプ氏は、第1次政権中に米国第一主義(アメリカ・ファースト)を実行すべく様々な国際条約・国際組織から脱退した。

 まず、不法移民の流入を阻止するとしてメキシコとの国境に壁を設けることを実行に移した。

 2018年5月8日、バラク・オバマ大統領時代の外交面を全否定するトランプ政権は、米国・英国・フランス・ロシア・中国およびドイツの6か国とイランが2015年7月に締結した国際合意である「イラン核合意」から離脱した。

 2018年6月12日、シンガポールで史上初の米朝首脳会談が行われた。

 その後、2019年2月に2回目の首脳会議がハノイで行われ、2019年6月30日には板門店で第3回目の首脳会議が行われた。

 この時、トランプ大統領は韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線を挟み、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と握手した後、現職の米大統領として初めて境界線を歩いて越え、北朝鮮側に入った。

 これに続き、金正恩氏がトランプ氏と並んで境界線を越え、南側に入った。

 北朝鮮の非核化について何ら成果の得られなかった3回に及ぶ米朝首脳会議は、米国内では実質的な内容のある会談というよりは政治ショーだと批判された。

 また、気象変動に関する枠組み合意である「パリ協定」は米産業の成長にとって障害になるとして2017年6月1日に、パリ協定からの離脱を表明し、2020年11月4日には正式に離脱した。

(バイデン政権は、2021年2月にパリ協定に復帰した)

 さらにコロナ禍が蔓延する中、世界保健機関(WHO)の中国寄りの姿勢を非難して、2020年7月に、1年後の2021年7月6日に脱退すると表明した。

(2021年1月に就任したバイデン政権は、就任と同時にWHOからの脱退を撤回した)

 以上のように、トランプ第1次政権は、トランプ大統領の国際協調を否定する外交政策を次々と打ち出し世界を混乱に陥れた。

 第2次トランプ政権の4年間も、トランプ大統領の予測不能な言動で世界を混乱に陥れることは間違いない。

 しかし、これからのトランプ大統領在任中の4年間、トランプ氏の「力による平和」によって、地球上から戦争がなくなり平和であるならば、トランプ氏の傲慢さも我慢しなければならないであろう。