(4)台湾との非公式同盟(台湾関係法)
1979年1月1日の「米中の外交関係樹立に関する共同コミュニケ」で米側は、「中華人民共和国を中国唯一の合法政府であること」を承認(recognize)するとともに、「中国はただ一つであり、台湾は中国の一部であるという中国の立場」を認知(acknowledge)し、台湾からすべての武力と軍事施設を撤去する最終目標を確認し、この地域の緊張緩和に応じて台湾におけるその武力と軍事施設を漸減することを声明した。
これは、朝鮮戦争以来米国が一貫してとってきた中国封じ込め政策の大転換を意味する。
ホワイトハウスのこの方針は、ソ連と中国の離間を決定的なものとし、また、米国企業が将来、中国大陸の巨大な市場を獲得するための重要な布石ともなった。
米国が中国との国交を樹立したため、1979年1月1日、台湾政府は米国との断交を宣言した。
このようにして米国と台湾との国交は断絶された。
しかし、同時に「米華相互防衛条約」の無効化(1980年に破棄)に伴い自由主義陣営の一員である台湾が中国に占領される事態を避けるため、また台湾政府や在米国台湾人からの活発な働きかけもあって、「台湾関係法」が1979年4月に制定され、1月1日にさかのぼって施行された。
「台湾関係法」は、米国の行政府に対して台湾が必要とする防衛用の兵器供与を義務付けると同時に、台湾の安全を脅かすことに対しても米国が関与するとしている。
同法によって台湾と米国が依然として非公式とはいえ「同盟関係」にあると解釈することもできる。
関連する条文は次の通りである。条文の出典は「データベース『世界と日本』」である。
第2条第B項
第4号 平和手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試みは、ボイコット、封鎖を含むいかなるものであれ、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威であり、合衆国の重大関心事と考える。
第5号 防御的な性格の兵器を台湾に供給する。
第6号 台湾人民の安全または社会、経済の制度に危害を与えるいかなる武力行使または他の強制的な方式にも対抗しうる合衆国の能力を維持する。