高校全入と境界知能:日本の大学は高等教育か

 少し古い数字になりますが、令和2(2020)年時点での、日本の大学進学者数、進学率と収容可能数などを文部科学省のデータに基づいて確認してみます。

 リンクの資料によると、大学+短大への現役志願率は61.2%、実際の進学率は58.1%。18歳人口に占める割合で進学率を評価すると

大学進学率:53.7%
短大進学率:4.4%
高専4年次:0.9%
専門学校:23.8%
上記合計:82.8%

 となっています。ざっくり言えば、2020年時点での日本は、社会の半数強~6割ほどが「大学」と名のつく場所に進学し、各種専門学校を合わせれば83%の進学率。

 また、日本の高等学校への進学率は1975年には90%を超え、1990年代半ばからずっと95%を超えています。

 これについてはなぜか2015年以降、高校進学率が漸次低下して2023年時点では93.5%ほど。

 粗っぽい計算をするなら、中学までの義務教育で終える人は5~6%程度で、100人のうち95人は高校には進み、高校中退者を含め約12%が専門学校や大学には進まず、残りの8割強が高等学校以上の教育を受けている。

 これを「日本の教育はここまで社会に普及している」と喜ぶべきなのかというと、そこまで楽観的ではいられないような気がするのです。

 さて、皆さんは「境界知能」という言葉をご存じでしょうか?

 物事を統計や数字で判断することには限界がありますが、ここでいう「境界知能」とはIQ、いわゆる知能指数で測って「健常者」と「障害があると」される人の間=「境界」にある人を指しています。

 IQが70を下回ると「知的障害」と見なされ、障害者手帳が交付されて 様々なのサポートの対象となりますが、IQが70~85程度の人は保護や優遇措置の対象となりません。

 学校でも特殊学級ではなく通常学級で学習しますが、計算や図形の認知などに難があるケースなどが見られます。