宇宙軍利権も当然、視野に

 そんな中、1期目のトランプ政権は、2019年12月20日に、宇宙軍(USSF)を発足させた。アンドルーズ空軍基地で行った宇宙軍創設の調印式で、トランプ大統領はこう述べている。

「宇宙は新たな戦闘領域である。アメリカの安全保障に重大な脅威が迫りくる中、宇宙におけるアメリカの優位性は、死活的に重要なものとなってくる。これまでは、(宇宙で)アメリカがリードしてきたが、いまだ完全に優位に立ったとは言えない。だが宇宙軍の設立によって、まもなく他の国を大きく引き離すことができるだろう」

 このように、やはり「軍需産業に癒着していない」トランプ大統領も、新設の宇宙軍に、大いに期待をかけているのである。ライバルとなる「他の国」とは、中国とロシアを指すものと思われる。

 実際、スペースXが、「宇宙軍利権」を獲得しようとしているのは、間違いない。すでに一部の入札で、事業への参入を勝ち取っている。

 特に、連日激しい戦闘が展開されているウクライナ戦争で、ウクライナ軍は日々、スペースXが運用する衛星インターネットアクセスサービス「スターリンク」を利用している。スペースXが「スターリンク」をストップした日が、ウクライナが敗北する日と言われるほどだ。

 そのため、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がトランプ氏に祝意の電話を入れた時にも、トランプ氏の傍らには、マスク氏がいた。すでに首脳同士の電話会談にも「参入」しているのだ。