この説はもっともだが、それだけではないだろう。11月7日付『ニューヨークタイムズ』は、「イーロン・マスクはトランプ大統領当選者を助けた。どんなリターンを期待するのか?」と題した、やはり長文の記事で、こう記している。
ペンタゴンにスペースXが乗り込む?
<マスク氏はトランプ氏に対し、マスク氏のロケット会社スペースXの従業員を国防総省を含む政府高官として雇用することを望んでいた。スペースXの従業員を同社最大の顧客の1つである政府機関に送り込むことになるこの要望は、トランプ氏の選挙運動に1億ドル以上を投資し、自身のソーシャルメディア・プラットフォーム「X」でほぼ絶え間なくトランプ氏を支持するコンテンツを発信し、激戦州であるペンシルベニア州で候補者を代表して公の場に姿を現したマスク氏が得る利益の兆しである。(以下略)>
ここで指摘しているのは、「マスクの軍事的野望」である。スペースXが、内部からペンタゴン(国防総省)に乗り込んでいくというのだ。
アメリカには、ボーイング、ユナイテッド・テクノロジーズ、ロッキード・マーチン……という名立たる軍需産業が屹立(きつりつ)している。彼らは長年にわたって、ペンタゴンと癒着してきて、新興のスペースXが入り込む余地は少ない。