安直な斎藤批判とSNSでの「#斎藤知事がんばれ」

 ただ、日々、そのニュースを伝えていく過程において、次第に感情的になっているのではないかと疑問が湧きました。そして、怒りに満ちた「街の声」を畳みかける様相は、結果的に、視聴者に一方的な印象を与える「印象操作」になってしまうとの危惧を抱きました。

 そんなことを考えていたら、X(旧Twitter)では「#斎藤知事がんばれ」というハッシュタグがトレンド入りし、SNSなどでは斎藤氏を擁護する声が広がっていると話題になりました。高まる批判の流れに乗って番組を制作する中で、「街の声」と称して知事を糾弾するコメントを安直に使ってきたテレビに叛旗を翻したかのようです。

 「街の声」は視聴者の感情に訴え、共感を生みやすい手段です。しかし、もともと恣意性や偏向性など、危うさを兼ね備えています。情報の送り手であるテレビも、受け手である視聴者も、「街の声」に対して慎重な構えが必要ではないでしょうか。たかが「街の声」だと軽く扱うと落とし穴にはまってしまうように思います。