小説家の松浦寿輝氏が突いたメディアの核心

メディアはつくづく「美談」が好きだなと思うだけだ。

 これは、小説家の松浦寿輝氏が、日本経済新聞のコラム「あすへの話題(2023年1月11日付)」で、理想の家族像だけを切り取って伝えるテレビを皮肉った言葉です。

 コラムでは、年末年始やお盆の時期にテレビニュースで流れるインタビューは、必ず都会で暮らす若夫婦と帰省先の老夫婦が登場し、孫を仲立ちにして互いの絆を確かめ合う微笑ましい映像が流れることを指摘しています。

 そのうえで「こうした理想の家族が国民の大多数を占めているとはわたしにはとうてい思えない。(中略)ニュースに映るのは決まって『孫の顔を見せに……』という千篇(せんぺん)一律の紋切り型なのである」と述べています。

 美談に仕立て、定型パターンに陥るテレビの体質を批判している松浦氏の言葉は、核心を突いていると思います。

大谷翔平礼賛に欠かせない「街の声」

 テレビは英雄の美談も大好きです。

 カラスの鳴かぬ日はあれど、テレビで大谷翔平選手の話題を取り上げない日はありません。連日、活躍ぶりが伝えられますが、それを礼賛する「街の声」も必須になっています。

 そんな中で、インターネット上の記事が目に留まりました。