デフォルト(債務不履行)という時限爆弾が炸裂?

 米国では連邦債務の上限が1917年以来法律で定められている。長年にわたり、債務上限の引き上げはほぼ機械的に引き上げられてきたが、最近、債務上限引き上げを「人質」にして野党が特定の政策などを求める事例が増えている。

 国債が発行できなくなった財務省は会計上のやりくりをして歳出を維持してきたが、やりくりの手段が尽きてしまうと、それまでに発行した国債への元利払いができなくなり、米国はデフォルト(債務不履行)を起こすことになってしまう。

 足元の状況を見てみると、連邦政府の債務は昨年1月に限度額(31.4兆ドル)に達したが、昨年6月に「財政責任法」が成立したことで国債の発行に制約が生じていない。

 だが、11月の大統領選挙と連邦議会選挙を通じて二極分化がさらに激化することが懸念されるため、来年1月までに債務上限に関する合意を形成するのは困難な状況にある。米国のデフォルトの危機がこれまで以上に高まっているのだ。

米国がデフォルトした場合の影響は極めて大きい=イメージ(写真:ロイター/アフロ)

 米格付け会社ムーディーズは9月下旬「どちらの候補が当選しても米国の財政状況は弱体化する可能性が高い」と指摘し、大統領選後に米国の信用格付けを引き下げることを示唆した。S&Pグローバルは2011年に、フィッチは昨年8月にそれぞれ米国の格付けを最上級から引き下げている。

 ハリス氏が当選した場合でも同様の問題が生じるが、政敵が多いトランプ氏が再選した場合の方が債務上限に関するコンセンサス形成ははるかに難しいのではないだろうか。

 米国債がデフォルトに陥れば、米国経済にどれほどの打撃を与えるのだろうか。