株価は3分の1が吹き飛ぶとの指摘も

 ムーディーズは、デフォルトが4カ月継続した場合、米国の実質国内総生産(GDP)は4%下落し、600万人が失業し、株価は3分の1下落するとしている。

 株価を始め好調さを保ち続ける米国経済は、大統領選挙後に大打撃を被る可能性が排除できなくなっている。米国経済が不調になれば、日本を始め世界経済全体が不況に陥ることは間違いないだろう。

 トランプ氏の関税政策(中国からの輸入品に60%の関税、その他全ての輸入品に10%の関税を課す)も世界経済にとって悩みの種だ。

「米輸入品の価格が上がりインフレになる」との問題点が指摘されているが、米国民はこの政策に肯定的のようだ。ロイターが9月中旬に公表した世論調査によれば、回答者の56%がトランプ氏の関税政策を支持している。多くの国民が「インフレになっても雇用が守られる方が良い」と判断しているのかもしれない。

 だが、トランプ氏の関税政策は国際経済に悪影響をもたらす可能性が高いと言わざるを得ない。筆者の念頭にあるのは1930年6月に成立したスムート・ホーリー関税法だ。