二大政党制を目指したが…

 小選挙区比例代表並立制が導入されたのは、1994年のことです。

 1980年代後半から日本の政治はカネと利権をめぐる問題で大揺れとなり、政治改革が急務とされました。その際、政治腐敗の根源は古びた政治制度にあるとの議論が高まり、「政治腐敗をなくすために政党本位・政策本位の政治制度に改めるべきだ」「中選挙区制をやめて小選挙区制の導入し、二大政党制を実現させよう」との意見が強まりました。そして公職選挙法と関連法令を改正し、現在の選挙制度につくり変えたのです。

衆院選前に党首討論会で意見を戦わせた(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 小選挙区制度が導入されるまで、戦後の日本では1つの選挙区でおおむね3〜5人を選ぶ「中選挙区制」を採用していました(歴史的に1人区だった鹿児島県奄美群島区を除く)。比例代表選挙の仕組みはなく、衆議院議員は全員が選挙区から選ばれていました。

 中選挙区制では、得票数が3番目、4番目の候補でも当選することができます。そのため、政権政党に対抗する野党は1つにまとまることがなく、政権交代が起きにくいとされました。これに対し、小選挙区制度を導入すれば、1つの選挙区で1人しか当選しないため、野党勢力はまとまって日本でも二大政党制が実現。政権交代が適度に起きるようになり、長期政権が続くことで生じる政治腐敗も解消すると言われたのです。

 しかし、現実はそうなりませんでした。二大政党制どころか、野党は離合集散を繰り返し、小選挙区での候補者1本化や選挙協力も毎回難航しています。