旧文通費改革の形骸化が物語っている

 本論からは少し外れるが、興味深いのは立憲民主党の公約集に「個人献金促進」が記されていることである。

「個人の政治献金の控除を抜本的に拡充し、個人献金を促進します」

 どこまで本気かは読み取れないが、草の根政党へとそのあり方を変化させようとしているのだろうか。

 本論に戻ろう。ここまでの記述と、前出の自民党の政策ビラを読み比べた熱心な読者は法律の検討事項と政策ビラの検討事項の完全一致に気がつくはずである。驚くほどに踏み込んだ改革の提案がなされていないのである。

 それだけではない。旧文通費(現:調査研究広報滞在費)の問題もそうだ。小欄でも幾度か言及してきたが、現在の旧文通費改革は現状追認に終わっている。法改正を通じて、名称こそ変わったものの領収書公開を必要としないがゆえにもともと文書通信関連の費目が幅広く使われている懸念と批判が高まったわけだが、法改正でむしろそれが認められてしまったのである。日割りと余剰分の返納はイレギュラーなことで全く本丸ではない。時間が流れるなかで使途透明化のみが立ち消えてしまったのである。

 立憲民主党は公約集に「旧文通費(調査研究広報滞在費)の使途の明確化と公開を進めます」と記している。むしろ与党公明党も含めて多くの政党がそのように主張しているが、自民党の先の政策ビラにはやはり言及がないのである。

 第三者機関の形骸化した設置の懸念が決して杞憂ではないことがわかってもらえるのではないか。