「新たな自民党に生まれ変わる」と言いながら中身のない候補者もいた

 政党法が存在しないため政治資金規正法や公職選挙法が個別に存在しているのが現状だ。令和の政治とカネの問題が明らかになってから、しばしば引き合いに出される、自民党がかつて党議決定しながら有名無実化している「政治改革大綱」にも政党法の検討が言及されている。政治献金廃止ともどもまったく実効的になっていないことは明らかだ。

 それにしても不思議なことに与党も野党も政治改革について最低限か、極端な主張しかしない。自民党は本稿執筆時点ではまだ衆院選マニフェストを公表していないが、直近の通常国会後に公開された「反省と改革」に特化した政策ビラを見てみると、あくまで通常国会で成立した事項を並べるにとどまっている。

The Jimin NEWS「新しい自民党に、必ず生まれ変わる。」 
 
 先の通常国会で成立した改正政治資金規正法の附則に記されていて、その具体像が未だに定まらない、しかし2026年1月に施行されることになっている政治資金をチェックするという「第三者機関」についても具体的な提案はない。そうであるにもかかわらず、「第三者機関によるチェック」ということを記している。

 自民党総裁選に立候補したもののなかにも、「新たな自民党に生まれ変わる」などといいながらいの一番に名乗りをあげつつ、いざ蓋を開けてみれば、同じく「第三者機関」の設置などと記していた候補者がいた。

自民党総裁選に名乗りを上げた9人の候補者たち(写真:ロイター/アフロ)自民党総裁選に名乗りを上げた9人の候補者たち(写真:ロイター/アフロ)

 与党を預かる政党としての主体性がまったくといってよいほど感じられないが、懸念されるのは実効性のない「具体化」だ。「第三者機関の設置」というのは簡単だが実はどんな機関を、どこに、つまり行政府におくべきか、立法府で設置するべきなのか、誰が具体的な構成員になるのか、予算規模や事務局をどうするのかなど煮詰まっていないことばかりなのである。

 法律の附則というのは、重要ではあるものの同時に法的拘束力を持たないので、このままでは26年1月に間に合うのかすら、それほど当たり前のことではない。