代表選挙は、野田氏と枝野氏の決選投票となったが、野田氏232票、枝野氏180票と大方の予想よりも枝野氏が善戦した。この結果を見ると、野田氏が言うほど幅広い無党派への支持拡大の期待があったとは思えない。

 枝野氏は、2021年の第49回総選挙では、日本共産党との選挙協力を行い、政権を取った場合の閣外協力を志位和夫委員長と約束していた。これが裏目に出た。議席を109から96に減らしてしまった。共産党も2議席減らした。この責任を取って代表を辞任した。立民がこの痛手からまだ回復していなかったことも枝野氏が敗北する要因になったと思われる。

 前代表の泉健太氏や当選1回の吉田晴美氏らが、2人に及ばなかったのは、あまりにも経験に差があるからだ。自民党の総裁選でも小泉進次郎氏が戦前の予想よりも悪かったのは、あまりにも未熟と思われたからだ。

 ただ野田氏は、期待が大きいから選ばれたというよりは、“引き算”の結果だと思った方が良い。

政治家としての物事の見極めに不安も

 野田氏は松下政経塾の1期生である。同塾の卒業生は多くが保守政治家になっている。保守思想が悪いわけではまったくない。

 私の理解では、左翼は「理想的な社会を作れる。欠陥のない人間も育てられる」と思っている。科学的社会主義を標榜する日本共産党がその典型だ。