安倍路線の転換に向かうか

 総裁選が始まった時の予想では小泉進次郎氏が断トツの人気だった。その小泉氏が3位になり、決選投票にも残れなかったというのは、大番狂わせである。これは何度も行われた討論会によってもたらされたものであろう。なかなかシビアな結果であった。

 林芳正氏や上川陽子氏らも大健闘だったと思う。2人は討論会の中でさすがの力を示していた。河野太郎氏や加藤勝信氏らが惨敗したのは、日頃の態度の悪さが招いたもので自業自得である。河野氏は都合が悪くなるとつっけんどんになり、加藤氏の官房長官時代の記者会見での対応は、木で鼻をくくったような答弁ばかりだった。二人に共通しているのは、国民の理解を得ようという態度、国民に語りかけるという姿勢が決定的に欠如していたことだ。

 高市早苗氏は、大健闘だった。だが安倍元首相からとうとう卒業できなかったということだろう。国民は高市氏らが思うほど安倍晋三氏の政治が良かったとは思っていない。

 その点では安倍路線と距離を置いてきた石破茂氏が新総裁になったというのは、安倍路線の転換ということへの期待ではないのか。大いに挑戦してほしいものだ。