助成制度と祖父母からの贈与をフル活用

 実際に数字で見てみると、かなり教育費がかかることがわかりますね。ただし、最近は、少子化対策が強化されており、子育て世帯への助成制度が拡充されてきています。特に東京は他の自治体と比較して助成制度が充実してきているので、助成制度についての知識を深めておくことも大切です。以下、主な助成制度です。

●児童手当の拡充

 児童手当は、中学生以下(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の子供がいる世帯に対して給付されます。3歳未満は月額1万5000円、3歳〜小学生は月額1万円、中学生は月額1万円です。

 2024年10月から、政府は児童手当の所得制限を撤廃し、対象を高校生まで広げて1人あたり月1万円を支給することを決定しました。また、第3子以降については児童手当の金額が月3万円に増額されます。所得制限によってこれまで児童手当が5000円、または支給停止になっていた世帯についても、2024年10月からは児童手当がもらえます。

私立中学校等授業料軽減助成金

 東京都では、私立中学校等授業料軽減助成金として、私立中学校、私立特別支援学校(中学部)、私立義務教育学校(後期課程)、私立中等教育学校(前期課程)の授業料を年間10万円助成しています。申請できる方は、子供と保護者が東京都内に住所を有していて、都内の私立中学および都外の私立中学などに在学する子供の保護者の方です。2024年から所得制限が撤廃されました。

●高校授業料の実質無償化

 現状、年収910万円未満の世帯には国の制度で「高等学校等就学支援金」が支給されています。公立高校に通う場合は年11万8800円、私立高校に通う場合は年11万8800円(年収590万〜910万円)、年39万6000円(年収590万円未満)を上限に授業料のサポートが受けられます。

 東京都在住の生徒であれば、これに上乗せする形で授業料分が支給される(最大48万4000円)うえ、2024年から所得制限が撤廃になっています。なお、都内から都外の高校に通う場合も対象ですが、都外から都内の高校に通う場合は対象外です。

●大学授業料の無償化

 2025年度から、3人以上の子供のいる世帯の大学授業料や入学金を無償化する方針です。こちらも所得制限はありません。例えば、私立大学(昼間制)に4年間通った場合、入学金は約26万円、授業料は年額約70万円支給されます。

 ただし、制度を利用する上では、「3人以上が同時に扶養されている必要がある」「対象校以外への進学では制度は利用できない」「支給額には上限がある」といった条件があるので注意しましょう。

 また、祖父母に資産がある場合には、教育資金贈与の非課税制度を利用する方法もあります。教育資金贈与の非課税制度とは、両親、祖父母などが、30歳未満の子ども、孫などに教育資金を一括贈与した場合、1人あたり最大1500万円(習い事などは最大500万円)までは非課税になる制度です*1

*1教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置(文部科学省)

 教育資金一括贈与は、期間を定めた時限的な措置ですが、令和5年の税制改正で期間が延長され、令和8年3月31日まで利用することができます。