海のリアルな状況を観測する「漁場の可視化」

 これまた異変である。ブリの豊漁を当て込んでいたのに、一転して不漁になってしまう。そこが自然相手の漁業の怖さである。だからこそ、いま必要なのは漁場とその周辺における「海の見える化=漁場DX」の推進だ。

 白糠町ではふるさと納税の豊かな寄付金の一部と、クラウドファンディング、漁業用の基金などを活用して補助金に充て、「漁場可視化調査」(令和3年度)、「海洋観測事業」(令和4年度)など漁場DXを推進してきた。

 漁場の可視化ということでは、地元の潜水関係の専門業者に依頼してマルチビームという装置を使って海底の地形を調べたり、水中ロボットで深いところの生物の状況を調べたりしたところ、海中の層による温度や潮の流れの違い、時季によるカニやタコなど生物の生息状況などを把握できたという。

 さらに沖合にセンサーを設置して日々の海のリアルな状況を観測している。

「漁港から10kmの沖合に設置したブイにセンサーを取り付け、海水温、塩分濃度、溶存酸素量を計測しています。漁師さんはそのデータをスマホやパソコンでチェックし、漁に活用しています。

 令和4年からは新たな水産資源開拓に向け、ホタテの稚魚放流をスタートさせました。ここでも海の調査データを活用しています。海の状況を可視化していくことで、白糠の海に適したブルーカーボン生態系を計画しているところです」(白糠町経済課水産係)

 最先端の技術を駆使して海、漁場の可視化と豊かな漁場づくりを進めているところである。