通信機器の一斉爆発は、翌18日にも起こった。レバノン保健省によるとこの爆発で少なくとも20人が死亡、450人以上が負傷したという。さらに日本人にとって衝撃的な報道があった。ロイター通信によれば、18日に爆発したトランシーバーには「ICOM」の社名と「日本製」の記載があったという。ICOMは大阪の通信機器メーカーだ。

 中東への輸出を担当する同社の欧州現地法人は日本のANNの取材に対し「指摘されている製品は数年前に生産を終了していて、これまでもレバノン向けの大量の取引はない」「中東地域へは輸出管理が厳格なため、エンドユーザーなどを確認したうえでの輸出となり、正規品とは考えにくい」と答えている。

携帯電話のハッキング防止のためポケベルを使用していたヒズボラ

 ヒズボラは携帯電話のハッキング防止のためポケベルを使用していた。昨年10月にパレスチナ自治区ガザのイスラム武装組織ハマスがイスラエルに大規模攻撃を仕掛けて以来、ヒズボラもロケット弾やドローン(無人航空機)でイスラエルを攻撃、携帯電話禁止が一段と徹底された。

 国境を越えたイスラエルとヒズボラの戦闘は激しさを増しており、イスラエルがハマスへの攻撃を縮小するにつれ、ヒズボラへの本格的な攻撃を準備していたとみられる。今回の大量暗殺事件が改めて物語るのは敵に対するイスラエルの非情さとそれを可能にする技術力だ。