イスラエルのネタニヤフ首相はイランにどこまで報復するか(写真:AP/アフロ)

米WTI原油先物価格(原油価格)は今週に入り、1バレル=76ドル台から70ドル前後に急落している。中東情勢の悪化による原油供給の減少に対する警戒感が大幅に後退したからだ。だが、イランに対するイスラエルの破壊工作はすでに始まっているとの情報もあり、予断を許さない。

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 まず、いつものように世界の原油市場の需給を巡る動きを確認しておきたい。

 石油輸出国機構(OPEC)は10月14日に発表した月報で、9月の原油生産量は前月比60.1万バレル減の日量2604万バレルだったことを明らかにした。リビアとイラクの減産がこれに寄与した。

 リビアの9月の原油生産量は前月比41万バレル減の日量54万バレルだった。だが、政情が安定したことで足元の生産量は元の水準(日量120万バレル)に戻っている。

 イラクの9月の原油生産量は前月比15.5万バレル減の日量411万バレルだったが、同国の生産枠(日量400万バレル)を上回ったままだ。

 OPECによれば、OPECとロシアなどの大産油国で構成するOPECプラスの9月の原油生産量は前月比56万バレル減の日量4010万バレルだった。カザフスタンの生産量は前月比7.5万バレル増の日量154.5万バレルと生産枠を依然として超過している。

 OPECは世界の今年と来年の原油需要見通しを3カ月連続で下方修正した。今年の需要増加分は先月予測の日量203万バレルから193万バレルに、来年は日量174万バレルから164万バレルにそれぞれ減らしている。

 国際エネルギー機関(IEA)はOPEC以上に原油需要に弱気だ。