室内空間の快適性、タッチパネルの操作性を検証

 エアコンを除いた室内の居住環境は至って快適だった。室内空間は前席、後席とも広く、とくに後席はテスラのモデル3と比較しても1段階上という印象だった。

 4名乗車での長旅でもストレスは小さくて済むだろう。シートはナッパレザーが標準で、前席には2段階のシートベンチレーターも装備される。ベンチレーターの高速側は体感温度がたちまち下がるように感じられるくらい強力で、夏のドライブでは重宝した。

前席ダッシュボードまわり。インテリアデザインはむしろ古典的(筆者撮影)
後席はゆとり十分。4名乗車での長距離旅行も難なくこなせそうだった(筆者撮影)
荷室容量は400リットルとDセグメントセダンとしては小さめだが、奥行きが豊かで海外旅行用大型トランクの長辺を奥に向けて積載可能(筆者撮影)
ボンネット下には俗に“フランク”と呼ばれる荷室がある(筆者撮影)

 天井には固定式のグラストップが標準で備わる。サンルーフが大好きな中国のクルマらしいところだ。下位モデルの「ドルフィン」と異なり、サンシェードは電動ではなくデタッチャブルなのだが、ガラス自体の断熱性が驚くほど高く、前述のように猛暑続きであったにもかかわらず一度も使わずじまいだった。

グラストップは断熱、紫外線防護とも優秀で、酷暑の中でも付属のデタッチャブルシェードを装着したくなる局面は一度もなかった(筆者撮影)

 ひょっとしてオプションの紫外線・赤外線カットフィルムが装着されていたのかと思って事後に聞いたが、ロードテスト車は素の状態で、フィルムを貼るとさらに性能が上がるとのことだった。もっともそのぶんグラストップの可視光透過率は低く、ドルフィンに比べると採光性では劣る。

 操作系、情報表示の多くはタッチパネルに集約されているが、テスラほどシンプルではなく、ドライブモード、オートパーキングブレーキ、オーディオ、エアコン、ADAS(先進運転支援システム)など使用頻度の高いファンクションについては物理スイッチ、ないし静電スイッチが用意されている。

 モデル3と大きく異なるのはダッシュボード中央の大型ディスプレイの他にスピードメーター、バッテリー出力・回生メーター、エコゲージ、バッテリー残量計、ADASなどの情報を表示させる小さい液晶画面がステアリングコラム上に設置されていること。またフロントウインドウにはヘッドアップディスプレイも備わる。

 センターディスプレイは普段はカーナビ画面を表示させておくことが多かったが、何とも惜しいのはせっかくの大画面なのにナビアプリが画面分割に対応しておらず、全画面表示しかできないこと。スペースを生かすためにも画面分割対応は進めていただきたい。

 カーナビ、Spotifyはいずれもデータ通信で動かすタイプのものだが、今回のような長距離ドライブだと基本となる2GB/月では通信量が足りなくなる。BYD関係者によれば足りなくなった時にオンラインで追加購入できるように改善する準備を行っているところだという。

オーディオはデンマークのディナウディオ。標準装備系モノとしては十分ハイクオリティだった(筆者撮影)

 もっともクルマのファームウェアのオンラインアップデートをはじめとするコネクティビティの機能はデータ通信を使い果たしても機能するとのことなので、足りなくなったらAndroid AutoやApple CarPlayなどを使えばいい。

センターディスプレイは縦位置、横位置を自由に切り替えられる。縦位置だとナビマップのヘッドアップ側が広く表示されるので便利だが、Android Autoは横位置でしか使用できない(筆者撮影)