東京オートサロンにも初出展したBYD(写真:AP/アフロ)

(井元 康一郎:自動車ジャーナリスト)

東京オートサロンに初出展したBYDの狙い

 1月13日から3日間開催されたカスタムカーの祭典「東京オートサロン」の会場に初めて中国系自動車メーカーがブースを構えていた。BEV(バッテリー式電気自動車)大手、BYD Auto(比亜迪汽車)である。

 ブランド認知度は低いが、同社は2015年に電気バスで日本市場に進出済みで、7割のマーケットシェアを獲得している。そのBYDが1月31日に発売したのが、クロスオーバーSUVタイプのBEV乗用車「ATTO3(アットスリー)」だ。これを皮切りに、今年中にさらに2モデルのBEVを日本に投入するという。

「当社は現在、グループを挙げて海外展開に取り組んでいます。日本市場への乗用車の投入もその一環。ですが、クルマの世界では私たちは新参者で、名前も知らないという方がほとんどです。まずはブランドそのものを知っていただきたい。そして実車を見て、触ってほしい。そういう機会になればという思いで出展しました」

 BYD日本法人の関係者はオートサロン出展の動機をこのように語っていた。

 ブースにはATTO3、日本発売予定の「SEAL(シール)」、「DOLPHIN(ドルフィン)」の3台が展示されていた。筆者がそれらの実物を見たのはこの時が初めてだったが、3モデルとも見目麗しく、かつての中国車の面影は影も形もなかった。

日本での発売がスタートしたBYD「ATTO3」(筆者撮影)
今後発売予定の「SEAL」(筆者撮影)
今後発売予定の「DOLPHIN」(筆者撮影)

 中国車と聞いて思い出されるのは、2010年の北京モーターショーだ。会場はどの中国メーカーもBEVやPHEV(プラグインハイブリッドカー)の花盛り。前年の2009年に中国政府が全国人民代表大会でBEVを自動車産業の主軸に据えるという国家方針を打ち出したのを受けてのことだった。

 だが、政府に言われたからといって急にBEVやPHEVを作れるわけではない。その中身はお粗末なもので、中にはBEVと言い張りながら窓に貼られた濃い遮光フイルムを透かして手動変速機のノブやタコメーターが付いたままといったハリボテも多数見受けられた。

 そんなメーカーの中にBYD汽車もあった。バッテリーメーカーであるBYDを親会社に持つことから電動車作りではPHEVという形でわずかながらすでに実績を上げてはいたが、クルマのクオリティはお粗末なもので、セダン、ミニバンとも当時の日本車の20年後れという印象であった。