2023年に日本の乗用車市場への進出を果たした中国の自動車ブランドBYDオートが今年(2024年)6月にリリースした同ブランド第3弾となる電動セダン「SEAL(シール)」。果たしてその機能性や乗り味はどうなのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が4000km余りロードテストした模様を2回にわたって紹介する。【前編】
〈ラインアップ〉
【前編】BYD「シール」4000km試乗レポート/大胆にもテスラ「モデル3」にがっつりかぶせる野心むき出しのクルマ(本稿)
【後編】BYD「シール」4000km試乗レポート/アイキャッチ性抜群のデザイン、気になる航続力&充電性能の実力は?
日本ではニッチマーケット商品の「シール」だが…
クルマのカーボンニュートラル化を巡って世界が揺れ動く中、BEV(バッテリー式電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッドカー)で突っ走る中国の自動車ブランド、BYDオート(以下BYD)。日本では2015年にバスを発売、昨年(2023年)には乗用車の販売を開始したが、いずれもBEVのみだ。
乗用車は2023年にクロスオーバーSUV「ATTO3(アットスリー)」、ハッチバック「ドルフィン」と、2つのコンパクトモデルをリリース。今年6月、そこに日本では最上位モデルとなるミッドサイズセダン「シール」を追加した。これで日本進出時に投入するとした3モデルが出そろったことになる。
>>【写真全20枚】BYD「シール」のすべて、ライバルのテスラ「モデル3」との実力差は?
前2モデルがSUV、ハッチバックといずれもマーケットの真ん中を狙ったものであるのに対し、シールは日本ではもろにニッチマーケット商品だ。
クラスは需要がすっかり縮小したミッドサイズセダン、パワーソースはBEV、そして技術力やビジネスについてユーザーの信頼感を獲得できていない中国ブランド商品。そのシールは果たしてどんなクルマなのか。
4000km余りの長距離ロードテストを行ってみたところ、大胆にも電気自動車のリファレンスモデルのひとつとされる米テスラ「モデル3」にがっつりかぶせてくるクルマという印象だった。