合併でも野合でもない「政党連合」を

「歳出をカットして、不人気な税制も考えなければ」と、日本維新の会は主張するのでしょう。

 でもその前に社会が分断され崩壊したら、守るべき政府も社会もなくなってしまいますから、次の選挙後の「4年間の協力項目」として、財務省が嫌がる特定財源として、消費税の2%(約5兆円)を高等教育(短期大学、高等専門学校、大学、大学院)の無償化の財源にして、ティーンズたちに未来を提供することはできないのでしょうか。

 大阪ではきっちりと府内私立高校生を援助しているのですから(公立高校は廃校にしていますが)。未来はその先にあります。そこが一致するならできるはずだし、「一丁目一番地が違う」と言うなら、大嫌いな共産党と同じロジックとなります。

1993年8月、非自民・非共産の8党派が連立政権を樹立し、発足した細川内閣。写真は認証式を終え細川首相(左から6人目)とともに記念写真に納まる新閣僚(写真:共同通信社)

 同時に、党の支持者にたくさんの護憲派を抱えている立憲民主党も、改憲を訴える国民民主党との協力地平をつくるために、「将来的に、自民党改憲案のような憲法規範そのものを破壊するような案に代わる、我が党独自の憲法案をつくるために定期協議をする」という協力項目を自らつくって、相手の代表と交渉すべきです。

 憲法にきちんと規範力を取り戻させるという目標は、それを綱領と呼ぼうとなんと呼ぼうと一致しているはずだからです。それによって九条の力は甦るはずです。

 その意味では、共闘や一本化は、合併でも野合でもない「政党連合」と呼び直せばよいのです。政党連合とは、「選挙ごとの協力項目に合意したチーム」と言い換えられます。

 そのための第一歩が、「政策の一致なき野合は無責任」という大雑把なフェイク論をきちんとクズ籠に捨てることです。できる協力をやろうとしないほうが、公党としてよっぽど無責任です。

半径5メートルのフェイク論「これ、全部フェイクです」』(岡田憲治著、東洋経済新報社)