“蓮舫ショック”は、まだ尾を引いているのか。野党第一党・立憲民主党に明るい話題がない。秋に代表選が控えるものの、自民党総裁選の陰に隠れ、立候補が取りざたされる名前にも新鮮味が感じられない状況だ。立憲民主党はこのまま沈んでいくのか。維新や国民民主など、他の野党勢力との連携はどうなるのか。立憲民主党、国民民主党の元衆院議員で弁護士の菅野志桜里氏に、野党のいまと展望を聞いた。
◎前編:“立憲の左傾化”菅野志桜里が抱く危機感「次の選挙を失ってでも、共産とは一線を」蓮舫ショックで変われるか? から読む
立憲に欠く「統治ライセンス」
――自民党は下野を経験して、政権交代を2度と繰り返さないために、政権運営や選挙におけるずる賢さを身に付けた印象です。一方で、立憲民主党は教訓として生かせているものがないようにも見えます。
菅野志桜里氏(以下、菅野氏):国民世論がいまの自民党政権に満足しているわけではまったくありません。
安倍政権に比べて菅政権、岸田政権はもう少し中道リベラル寄り、時代に沿った実務家政権なのかなと思っていましたが、自民党内に抱える不寛容な攻撃成分みたいなものを排除できないのは変わらないようです。
それこそ、経済界すら求めている選択的夫婦別姓や、同性婚など、多くの人たちが認めようとしているものに手を付けられない政治が続いてしまっています。よほどのミラクルがない限り、次の総裁に誰がなったとしても、自民党はそこに政治的エネルギーを割けません。
そういうアイデンティティポリティクスというような領域は、立憲民主党が得意とするところです。もし立憲民主党が政権を取れば、もちろんそういうところはやってくれるんだろうと思います。
だけれども、ただ一方で、立憲民主党は統治のライセンスを持っている感じが全然ないんです。やっぱりそれは、選挙のために共産党と一緒にマイクを握り合ってしまったり、とても統治できるとは思えない政策協定を結んでしまったりというところに見えてしまう。国民世論が、統治のライセンスは出せないなとなってしまっているのだと思います。
別に政策協定や相互応援をする必要はありません。立憲も共産党もずっと自民党政権はダメだと言い続けているんですから、共倒れしないように選挙区調整だけすれば十分です。
自民党に代わるオルタナティブとしての野党に求める軸は、明らかに中道に寄ってきていると感じます。
――東京都知事選では石丸伸二氏の躍進も注目されました。菅野さんはどう見ましたか?