都知事選で躍進した石丸伸二氏(写真:共同通信社)
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(朝比奈 一郎:青山社中筆頭代表・CEO)

 7月7日に東京都知事選が行われました。結果はご存知だと思いますが、改めて紹介すれば、小池百合子さんが3期目の当選を決め、次点が石丸伸二さん、3位が蓮舫さんでした。

 投票率も60.62%と近年の都知事選の中では高い数字でした。また石丸さんや蓮舫さんも含め、若手の安野氏なども選挙後もその言動が注目を集めましたので、「都知事選はそれなりに盛り上がった」と捉えることもできるのかも知れません。

 しかし私は、選挙戦全体を通じて大きな絶望を感じました。民主主義に対する絶望です。

投票したい候補者がいない

 私は東京都民ですが、今回の都知事選の候補者の顔触れを見て、複雑な思いがしました。票を投じたい候補が見当たらないのです。いろいろ考えた末にAIエンジニアの安野たかひろさんに投票しましたが、公設掲示板のスペースが足りないほど候補者がいたのにこの虚しさは何なのかと、すっかりシラケてしまいました。

 なぜ票を投じたいと思う候補者が見当たらなかったのか。それは選挙戦を通じて、口先だけではなく「自分は東京都をこうしたい、そのためにこういう政策を進めたい」という本気の覚悟を感じられる候補者が見当たらなかったからです。失礼かもしれませんが、小池さん、石丸さん、蓮舫さんにもそういう覚悟は感じませんでした。当選することまでのことは考えているけれど、当選した後のことは考えていない。そんな風にも見えました。

 透けて見えるのは、敢えて過激に書けば、各候補の「私利私欲」です。