国会議員が裏金を欲しがる理由

──「政治資金規正法第21条の2第1項」で「何人も、公職の候補者の政治活動に関して寄附をしてはならない」と記されているのに、「第2項」に「前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない」と書かれており、今国会ではこの部分が大いに議論されました。

上脇:この部分は大問題です。現職の政治家と立候補予定の方を「公職の候補者」と呼びます。公職の候補者に寄附するのは原則禁止なのに、政党が公職の候補者に寄附するのは合法という逃げ道をわざわざ作っている。

 公職の候補者の選挙資金には、公職選挙法に基づいた収支報告制度があります。ところが、選挙以外の政治活動のために政党が公職の候補者に寄附をしても、政治家個人には収支報告制度がありません。

 よって、政党の本部や支部から公職の候補者に寄附をしたという記載はあるのに、受け取った人がそのカネを何に使ったかが全く分かりません。

 自民党本部の場合、幹事長を中心に年間10億円から20億円ほど、こうした寄附があります。これが何に使われたかが全く分からないんです。

 すべてではありませんが、地方の支部連合会や各支部でも政策活動費名目や単なる活動費名目で、地元の県議や市議に寄附をしています。受け取った県議や市議には収支報告書の制度がないので、そのカネがどう使われたのかは分かりません。

 これは法律が認めた合法的な裏金です。そうしたものが北海道から沖縄まで、あちこちにある。これを解消するためには「政治資金規正法第21条の2」の「第2項」を削除すればいい。

 そして、今回の通常国会でこの「第2項」は削除されました。

──では、これで解決ですか?

上脇:ところが、カラクリがあるのです。