2リーグ制は波乱のスタート

　正力松太郎は職業野球をさらに発展させるためにアメリカに倣って「2大リーグ制」にすることを思い立つ。正力は「ワンマン経営者」と言われたが、ライバル企業を巻き込んで、大きな「業界」を創出するような大きな「構想力」を持っていた。

　プロ野球の「2リーグ化」に際しても、永年のライバルである毎日新聞に声をかけ、毎日オリオンズを創設させている。

　戦後の野球ブームに乗じて、多くの企業がプロ野球に参入を希望、セ・リーグ8球団、パ・リーグ7球団で1950年、2リーグ制がスタートする。

　しかし、各球団はルール無用で、選手の「引き抜き合戦」を繰り広げ、セ・パ両リーグの関係は険悪になる。そのため、創設年の1950年はオールスター戦が開催されなかった。

　この時にプロ野球を保有したのは新聞社（巨人、中日、毎日、西日本）、鉄道会社（阪神、阪急、南海、国鉄、西鉄、東急、近鉄）に加え映画会社（松竹、大映）、水産会社（大洋）、さらに広島は親会社を持たない市民球団だった。

　映画は戦後、国民の最大の娯楽となる。また戦後、日本は世界屈指の捕鯨国となる。プロ野球の親会社には「日本産業の勢力図」が、色濃く反映されてきたのだ。