インバウンドよりも影響が大きい供給要因

<2021年度以降は供給不足、在庫減>
 2021年度以降、在庫水準は縮小が続いている。2021年度の在庫水準は5万トン切り下がった。総供給量が前年差+5万トンの小幅増加にとどまる一方、総需要量が同+45万トンの大幅増加となった。総需要量(916万トン)が総供給量(910万トン)を小幅に上回って供給不足となり、在庫水準の縮小につながった。

 総需要の変化の内訳をみると、主食用は6万トンの増加にとどまる一方、飼料用が28万トン増加した。飼料用は政府売却分も合わせれば42万トンの大幅増加だ。外食需要の回復が緩やかにとどまる一方、トウモロコシ等の国際市況高騰により飼料用需要が拡大し、補助金を活用して主食用米から飼料用米へ転作する動きが生じたとみられる。

 在庫水準は2022年度に26万トン、23年度に44万トン縮小した。この2年間の在庫水準の縮小は、需要サイドというよりも供給サイドの影響が大きい。

 総需要量は2021年度の916万トンから、2022年度に916万トン、2023年度に917万トンとなり、2年間で僅か1万トン分の増加にとどまった。内訳をみると、2年間で飼料用が8万トン分、純旅客用が5万トン分増加したものの、主食用は11万トン分減少した。

 他統計を踏まえれば、インバウンドを含め外食需要は回復しているとみられるものの、人口減などを背景に全体として主食向け需要が低迷していると考えられる。

 一方、総供給量は2021年度の910万トンから、2022年度に891万トン、2023年度に872万トンへ、2年間で38万トン分減少。上述の通り、作付面積縮小が影響していよう。