2021年以降、減少が続いている米の作付面積

<現在の価格高騰は作付面積縮小が一因>
 現在の「令和の米騒動」については、巷間では昨年夏の猛暑の影響、具体的には高気温による品質低下で店頭向けの流通量が減ったと指摘されている。

 では、米全体の作柄や収穫量はどうであろうか。

 まず、作柄について、2023年産の作況指数は101と「平年並み」であった。豊作とまでは言えないが、少なくとも1993年産や2003年産のような凶作ではない。そもそも凶作や不作は、猛暑というよりも冷夏で生じやすい。作況指数は2019年以降、平年並み(99~101)が続いており、面積当たり収量も近年安定している。

 にもかかわらず、全国の収穫量はこのところ減少が続いている。2019年産および2020年産がいずれも776万トンであったが、2021年産が756万トン、2022年産が727万トン、2023年産が717万トンへと3年連続で減少している。減少幅は2021年産が前年差▲20万トン(率にして前年比▲2.6%)、2022年産が▲29万トン(▲3.9%)、23年産が▲10万トン(▲1.4%)だ。

 すなわち、このところ作柄は「平年並み」で安定しているにもかかわらず、2021年産以降、作付面積の縮小が続いている影響により、米の収穫量、供給量が減少しており、足元の価格高騰の一因となっていよう。

<減反政策後も作付面積減少>
 米の収穫量は、一時的には豊作や凶作など作柄に左右されるが、長い目でみれば作付面積に連動する。1960年代に食生活の洋風化に伴い、主食用の米の需要が縮小傾向へ転じる一方、政府による増産促進に豊作が続いた影響等が重なり、過剰米が発生。政府の在庫が積み上がり、その財政負担が問題となった。

 過剰米問題を受けて、政府は1970年より減反政策を開始。その後、長らく作付面積は縮小傾向を辿った。

 減反政策が廃止された2018年から2020年にかけて、米の作付面積および収穫量はほぼ横ばいで推移した。だが、コロナ禍後の労働供給縮小もしくは外食需要縮小に対応して、2021年以降、作付面積および収穫量は再び縮小している。