3.クルスク進攻の地域目標はクルチャトフ

 ウクライナが当初3個旅団で攻撃していることと、占拠した範囲から分析すると、攻撃軸は左の助攻撃、中の主攻撃、右の助攻撃である。

 増援の3個旅団は、中の主攻撃部隊となり、中間目標を越えてクルチャトフの町からクルスクの町に向かっている。

 右の助攻撃部隊は中間目標としてスジャの町を占拠し、さらに東に向けて占拠地域を拡大している。

 スジャにはガスパイプラインの測定所があり、ガスを抜き取り輸送量をコントロールできるようだ。

 左の助攻撃部隊は中間目標を占拠し、その後、占拠地域を拡大するように西に向けて侵攻する。

 ウクライナの主攻撃軸は約30キロ、右左の攻撃軸は約16キロまで前進している。クルチャトフまでは、あと45キロである。

 そのクルチャトフの町には、クルスク原発がある。

 この原発は古くなりつつあることから、新たにクルスク原発2が建設されており、2025年には試運転の予定である。

 クルスク原発2は、ロシア最強の原発と呼ばれているほど近代化された原発である。

 ウクライナ軍の主攻撃の方向が、攻撃目標と考えてよい。その方向は、クルスク原発だということが分かる。

 ロシア軍は急遽、クルスク原発の周辺に部隊を配置して、防御準備を始めている。

図 ウクライナ軍の占拠地域から予測できる攻撃方向と攻撃目標

出典:図は筆者作成、クルスカヤ・アエス原発2はこちら