2.クルスク進攻、表向きの軍事戦略
プーチン政権やロシア軍は、戦略的にロシアが攻め入ることはあっても今回のクルスク進攻作戦のように、ロシア領内にウクライナ地上軍が侵攻することは予想もしていなかった。
この侵攻は、
①政治戦略としてはロシア国家・プーチン政権を不安定にさせること
②経済戦略としてはロシアから欧州へガスを供給する最大の輸送回廊の中継点をコントロール下に置くこと
③戦争戦略としてはクルスクの侵攻により今後の停戦交渉を有利に進めるカードにすること
④軍事戦略としてはロシア軍東部・南部の戦線の戦力を引き抜きクルスク正面に転用させること
⑤戦力転用することにより東部・南部戦線を弱体化させることであると予想できる。
この作戦では、軍の総司令官シルスキー司令官も現地に出向いて指揮を執っている。極めて重要な局面の作戦ということである。
そこで、ウクライナ軍の軍事作戦を改めて考察すると、私にはそこに重大な作戦目的・目標が隠されているように思えた。