7.原発占拠は絶対に許せないロシア

 ロシアは、自国の原発がウクライナのHIMARSなどの支配下になることを絶対に認めることはできない。

 どのようなことがあろうとも、クルスク州全域の奪還を命ずるだろう。しかし、その奪還のための予備の機甲戦力が十分にはない。

 プーチン大統領は、国境警備を担当しているロシア連邦保安庁(FSB)に奪還の指揮をとらせることを指示した。

 装甲が薄い装甲車しか保有していない部隊が軍を指揮しても、ウクライナ正規軍を撃破することなどできない。

 そこで、ロシアは東部・南部・西部の戦線から、現に戦っている部隊をいったん戦闘をやめて後方に後退させ、クルスクに転用しなければならない。

 これから兵士を数十万人徴集するとしても、今の戦いには間に合わない。

 ロシアにとって、この重大な危機に対応することは極めて難しい。

 米国のバイデン大統領の「プーチン大統領は本当のジレンマに陥っている」というのは、まさしくその通りだ。