年収1000万円ないと都市部の新築マンションが買えない時代(写真:RATTA LAPNAN/Shutterstock.com)

 新築マンション価格上昇が止まらないため、購入者の年収も年々高くなっている。注目しておきたいのが、三大都市圏によって購入者の平均年収が異なる点だ。意外かもしれないが、首都圏より中部圏の方が世帯年収が高くなっている。一体なぜなのか。住宅ジャーナリストの山下和之氏がレポートする。(JBpress編集部)

新築マンション購入者の年収は首都圏が圧倒的に高いとは限らない

 新築マンションの平均価格はどこまで上がっているのか。東京カンテイが三大都市圏(首都圏・近畿圏・中部圏)で調べたデータによると、【図表1】にあるように近年は首都圏の高騰が著しく、2023年には8094万円となっている。

 それに対して、近畿圏は4965万円で中部圏は3874万円。近畿圏は首都圏の約61%で、中部圏は約48%なので、中部圏なら首都圏の半分以下の価格で手に入る計算だ。


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 これだけの価格差があるのだから、購入する人たちの年収を見ても、首都圏が圧倒的に高いのではないかと思いがちだが、実際はそうではない。意外なことに、新築マンション購入者の世帯年収は首都圏や近畿圏より中部圏の方が高いというデータがある。平均価格には倍以上の格差があるにもかかわらずだ。

【図表2】をご覧いただきたい。これは、住宅金融支援機構が民間機関と提携して実施している住宅ローン「フラット35(全期間固定金利型住宅ローン)」を利用してマンションを買った人たちの主要な指標を都市圏別に整理したものだ。


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 世帯年収を見ると、全国平均が955.4万円に対して、首都圏は944.4万円で、近畿圏は少し高い974.8万円、中部圏はさらに高い993.8万円となっている。ほとんど1000万円に手が届くかという年収であり、1000万円近い年収がないと簡単には新築マンションが手に入らない現実があると言っていいだろう。