日銀は3月19日、「マイナス金利政策」の解除など、大規模な金融緩和策からの転換に踏み出しました。これによる住宅ローン金利への影響にも関心が高まっています。JBpressで掲載した人気記事から、もう一度読みたい記事を選びました。(初出:2023年10月24日)※内容は掲載当時のものです。
(山下 和之:住宅ジャーナリスト)
金利動向をしっかりつかんでおかないと後悔することにも
住宅ローンの金利がじわじわと上がり始めている。2023年10月現在、上昇しているのは固定金利型だけだが、早晩、変動金利型も上がり始めるのではないかとみられている。どちらを利用するにしても、今後の金利動向をしっかりとつかんでおかないと後悔することになりかねない。
住宅ローンには大きく分けると市中の金利動向にかかわらず金利が変わらない「固定金利型」と、市中の金利変化に応じて適用金利が変わり、返済額も変わる「変動金利型」がある。
固定金利型は長期金利に、変動金利型は短期金利に連動する。現在のわが国では長期金利の上昇が始まっているため、固定金利型の金利がジワジワと上昇を始めているが、短期金利は大規模緩和政策の継続によって抑え込まれているので、長く超低金利のまま変わっていない。
ただ、短期金利についても1、2年のうちには引き上げられるのではないかという観測が強まっており、それに連動する変動金利型の住宅ローン金利もやがて上がり始めることになる可能性が高まっている。
すでに上昇が始まっている固定金利型の代表格である住宅金融支援機構と民間提携の住宅ローン「フラット35」の金利をみると、【図表1】のように推移している。
直近では、返済期間21年~35年の金利が2022年1月に1.30%だったのが、2023年10月には1.88%となり、1年10カ月の間に0.58ポイント上昇した。
フラット35の運用が始まったのは2003年だが、そこから現在までの金利動向を振り返ってみると、2005年5月には2.15%だったのが、2006年11月には2.95%に上がったことがある。ほぼ1年半の間に0.80ポイント上がったわけで、今後を考えると1年で0.5ポイント、2年で1ポイントほどの上昇も十分にあり得そうだ。