新築、中古ともに価格高騰を続ける東京23区のマンション(写真はイメージ)

(山下 和之:住宅ジャーナリスト)

 首都圏のマンション価格の高騰が止まらない。新築マンションは2023年度上半期(4月~9月)の平均価格が7836万円で、前年同期比27.3%も上がっている。そのため、割安感のある中古マンションに注目が集まり、中古マンション価格も新築同様に、いやそれ以上に上がり続けている。簡単には手が届かないエリアが多くなっているので、物件選びに当たってはどのエリアに割安感があって、将来的な値上がりが期待できるかなどを考えながら選ぶようにしたい。

成約価格が新規登録価格を上回る「逆転現象」が発生

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によると、首都圏中古マンションの2023年9月の成約価格の平均は【グラフ1】にあるように4618万円だった。前年同月比4.5%の上昇だが、首都圏の中古マンション成約価格が前年同月比で上昇するのは、2020年6月から何と40カ月連続となる。


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 ただ、長い間上がり続けているので、そろそろピークに達して価格が頭打ちし、下落に向かう可能性があるのではないかと考える人が増えているためか、新規登録価格(売り出し価格)は、成約価格ほどには上がっていない。

 2023年9月の新規登録価格の平均は4145万円で、前年同月比での上昇率は1.8%にとどまっている。

 新規登録価格と成約価格の1m2あたりの単価をみると、【グラフ2】のようになっている。通常は、新規登録時の売り出し価格をもとに売り主、買い主が仲介会社を間に挟んで交渉し、多少の値引きのうえで契約が成立する。そのため、新規登録価格より成約価格がやや低くなるのがふつうの状態だ。


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 事実、2023年に入ってから、1月には新規登録価格が74.31万円に対して、成約価格は68.31万円で、新規登録価格が成約価格を上回り、両者には8.1%の差があった。しかし、それが春先からジワジワと縮小し、2023年7月には新規登録価格が71.61万円に対して、成約価格が71.92万円と、成約価格が新規登録価格を上回る逆転現象が発生した。

 新規登録物件の平均専有面積が成約物件の平均専有面積より10m2以上狭く、築年数が5年以上長くなっているので、その分平均価格が安くなるという事情があるにしても、逆転現象が生じるほど過熱感が高まっているのは間違いない。