中古マンションを新築同様にリフォームして、リノベーションマンションとして販売されるケースが増えている(写真はイメージ)

 リフォームの専門会社、住宅メーカー、不動産会社などが中古マンションを買い取って抜本的にリフォームを施し、リノベーションマンションとして販売するケースが増えている。消費者からすれば手間いらずで、新築同様の部屋にすぐ入居できるメリットがあるが、中古マンションを買って自分でリフォームするのに比べて予算が高くなる傾向がある。住宅ジャーナリストの山下和之氏が、リノベーションマンションのメリット・デメリットを改めて整理する。(JBpress編集部)

リフォームして住み続けるのが当たり前の時代に

 リフォーム市場がジワジワと拡大している。国や自治体の住宅政策も、新築住宅の建設・販売を支援する“新築主義”から、良質な住宅を建てて、長く大切に使っていく仕組みを構築する考え方に大きく変化している。そのため、リフォームやリノベーションが重視されるようになっているわけだ。

 新築住宅を建てては壊し、建て替えるといった大量生産・大量消費はSDGs時代にそぐわないし、国民も親が家を建てたり買ったりしても、子どもはそれを建て替えたり買い換えたりしなければならず、どの世代にも住宅負担が重くのしかかって豊かな生活を送ることはできない。

 しかし、長く大切に使っていくことができれば、国民の負担は軽減され、地球環境にやさしいライフスタイルにもつながる。そのため、住まいをリフォームして住み続けることが時代のトレンドとなり、リフォーム市場が拡大しているのだ。

 別掲の【グラフ】にあるように、住宅リフォーム・紛争支援センターの調査によると、リフォーム市場は2018年には5.72兆円だったのが、2019年には6兆円台に乗せ、2021年には6.5兆円まで増えている。


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 通常のリフォームにエアコンや家具などリフォームに関連する消費財、インテリア商品などを加えた広義のリフォーム市場も拡大している。2020年の7.31兆円が、2021年には7.64兆円になっている。