全国的に不動産価格が上昇している(写真:AP/アフロ)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 日本は10年以上前から人口減少が始まり、空き家問題が取りざたされるようになった。しかし、新規住宅着工戸数は10年以上80万~100万戸の間でほぼ横ばいで減る傾向を見せていない。

 その中にあって、都市部の家賃は上昇し、マンションや戸建ての分譲価格は高騰している。一般的に価格は需給バランスで決まると言われているが、現実には真逆のことが起きている。

 なぜ全国の不動産価格は高騰しているのか。また、当面の間、不動産価格が上がると予測されるのはなぜなのだろうか。そのあたりについて聞かれることは少なくないが、そのメカニズムは意外に簡単に説明することができる。

 確かに、日本の総人口は減少している。少子高齢化に突入しており、出生人口は死亡人口より少ない。その中で、働き手となる生産年齢人口(15-64歳)は2015~20年の5年間で227万人、年平均45万人減少している。定年を迎える人口よりも、働き始める20歳前後の人口の方が常に少ない状態だ。

 ただ、それが分かり切っていることだからこそ、日本は外国人労働力を流入させてきた。現に、在留資格を持つ外国人は急増しており、コロナ前は16万~19万人の流入超過である。

 この他にも、安倍政権以降、女性と高齢者の社会進出が進み、就業者は増えた。それもあり、近年では就業者の減少は年間20万人程度で収まっている。

 GDP(国内総生産)は働いている「人数×労働生産性」で説明がつく。このように、あの手この手で働き手を増やして経済活動を下支えしているのだ。

 以上のことから分かること、それは日本では慢性的な人手不足にあるということだ。