2022年の出生率は1.30を割り込むことが確実視されている(写真:アフロ)

(沖 有人:スタイルアクト代表取締役)

 岸田首相が通常国会の施政方針演説で、異次元の少子化対策に意欲を示した。直近の合計特殊出生率(1人の女性が一生で産む子どもの人数)は、2021年1.30まで下がった。

 2022年はコロナ禍での婚姻件数の低下を受け、出生人口が前年比5%程下がる公算で、合計特殊出生率は1.30割れが確実視されている。日本の人口予測のメインシナリオは1.40台で推移する前提なので、1.30を割り込めば、この国の前提がすべて狂う。

 そもそも人口予測は最も確実な将来予測である。それがわずか数年で予測が外れているようでは困るのだが、予測が外れるのには、それなりの理由がある。

 人口予測の結果は、社会保障人口問題研究所(社人研)の予測がよく引用される。年金制度や健康保険制度にとって、働き手や年金受給者、高齢者の数は政策上の重要な前提条件となるため、厚生労働省の外郭団体である社人研が人口予測を実施している。この予測は、一般にも無料公開される。

 もっとも、独立性の低い社人研の予測は常に「恣意的だ」と疑念を持たれ、新聞雑誌などで批判されている。実際、これまで出生率は毎回高く外れ、次の国勢調査が出る5年経過時点で予測が実績と大きく乖離してきた。全国の数字は政策の大前提だが、毎度当たらない予測では、長期的な視点での戦略構築ができなくなってしまう。

 社人研の予測精度は検証すれば分かる。2015年の国勢調査をベースに2020年以降を予測したもので検証してみよう。