写真提供:beeboys / Shutterstock.com 、日刊工業新聞/共同通信イメージズ 「日刊工業新聞」

 ウエルシアとツルハが計画通り経営統合すれば、売上高2兆円規模の巨大企業がドラッグストア業界に誕生する。売上高ではマツキヨココカラ&カンパニー(マツキヨココカラ)を大きく上回ることになるが、利益率においては、マツキヨココカラが依然として強さを維持することになるとの見方がある。

 業界きっての高収益企業であるこの企業の強さの源泉はどこにあるのか。流通業界専門誌、月刊『激流』の加藤大樹編集長にマツキヨココカラの強みである「DX戦略」と「科学的経営手法」について聞いた。

統合後、ココカラの営業利益率が7.5%に向上

――2021年にマツモトキヨシ(マツキヨ)とココカラファイン(ココカラ)が経営統合しました。その後、ココカラファインの営業利益率が大幅に改善されましたが、背景にどんな事情があるのでしょうか。

【月刊激流】

1976年、製配販にまたがる流通業界の専門誌として創刊。スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店など、小売業の経営戦略を中心に、流通業の今を徹底的に深掘り。メーカーや卸業界の動向、またEコマースなどIT分野の最前線も取り上げ、製配販の健全な発展に貢献する情報を届ける。

加藤大樹氏(以下敬称略) 統合前、ココカラの営業利益率は1~3%台でしたが、2023年度は5.6%になっています。経営統合に伴うのれん代や商標権償却費を引くと7.5%とさらに高くなります。マツキヨも8.2%で、今やこの両社はドラッグストア業界きっての高収益企業です。

 マツキヨは以前から収益率の高さを誇っていましたが、ココカラの収益率アップは明らかに経営統合によるシナジーの表れと言えます。

 マツキヨもココカラも利幅の薄い食品には重点を置かず、H&BC(ヘルス&ビューティケア)に軸を置くというビジネスモデルが近似していましたし、マツキヨは東日本、ココカラは西日本に店舗が多いなど、統合すればシナジーが出やすいポジションにありました。

 しかも経営を統合するに際し、両社は商品も統合しました。プライベートブランド(PB)商品については、両社がそれぞれ持っていた商品を1品ごとに品質、価格、利益率などを比較検討した結果、マツキヨのPB商品の方が圧倒的に多く選ばれたそうです。