上位集中化が進み、上位10社で業界の約8割の売り上げを占める日本のドラッグストア。どの分野を強みとするかで、3タイプに大別できる点が特徴だ
写真提供:共同(コスモス薬品)、日刊工業新聞/共同通信イメージズ(その他)

「セルフメディケーション」を掲げて成長してきたドラッグストア業界。少子高齢化と超高齢者社会が進むわが国では国民の健康を守る拠点として、その存在感が増している。今後は物販だけでなく、「健康産業」の担い手としてより高レベルの役割が求められるが、ドラッグストア各社はどう対応しようとしているのか。シリーズ「ドラッグストア業界の今」では、その取り組みを紹介していく。前編である今回はドラッグストア業界の現状と各社の取り組み、今後の戦略を解説する。

品ぞろえの拡大で薬局、薬店から進化

 2023年末時点の日本のドラッグストア業界の売上規模は9兆2022億円、店舗数は2万3041店。2022年末に対し、4888億円、957店舗の増加となった。

 この数値は一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会によるものだが、1999年にドラッグストア業界初の事業者団体として設立されたのが、この協会だ。

 協会設立時の日本のドラッグストアの店舗数は1万1787店。当時は薬局、薬店を中心とした小規模店が多く、売上高は3兆円に満たない状況だった。

 その中で事業拡大に積極的な薬局、薬店の経営者が現れ、品ぞろえを医薬品、化粧品から日用品、食品に広げたことで薬局、薬店は「ドラッグストア」という業態に進化し、急成長していく。

 そうした中、日本のドラッグストアでは本来の役割である医薬分業の拠点としての期待も高まっていくが、ここで「健康産業を担うための産業化」を趣旨に誕生した日本チェーンドラッグストア協会が、それを後押ししていく。

 同協会は一般医薬品の販売を可能にする登録販売者制度を実現させるなど、ドラッグストア業界の改革を先導して推進。コロナ禍における衛生用品や検査キットの取り扱いや巣ごもり需要に対応した食品販売を通して、生活インフラとしてのドラッグストアの存在感を高めていった。