アマゾンジャパンが大手ドラッグストアのウエルシアホールディングスなどと提携して、自宅でオンラインでの服薬指導から処方薬の購入・受け取りまでできるサービス「アマゾンファーマシー」を開始した。患者が調剤薬局まで行かなくても薬を受け取ることができるサービスは、これまでにもあった。なぜ、アマゾンはこのタイミングでこの市場に参入したのだろうか。
医薬品業界の専門情報誌『国際医薬品情報』編集長の岩垂廣氏、流通業界の専門誌月刊『激流』の赤堀たか子氏に聞いた。
服薬指導から処方薬の受け取りまでオンラインで完結
アマゾンジャパンが「アマゾンファーマシー」の名称で始めた新しいサービスの仕組みは、次の通りだ。
利用者はまず、アマゾンのショッピングアプリをダウンロードする。そして医療機関を受診したら、医療機関に電子処方箋を発行してもらう。利用者はアマゾンのアプリに表示される調剤薬局を選んで電子処方箋を送り、オンライン服薬指導を予約する。
薬剤師に服薬指導を受け、アマゾンアカウントで設定されている支払方法で薬剤料や配送料を支払うと、指定した住所に薬が送られてくるというのが大まかな流れだ。利用者が自分で調剤薬局に薬を取りに行く場合、配送料はかからない。
アマゾンはこのサービスをウエルシアホールディングスなど、複数のドラッグストアと提携して行っている。その店舗数はウエルシアだけで約1900店舗、他のドラッグストアチェーンも入れると2500店舗ほどになるという。
このサービスを利用すれば、悪天候の日に遠方の調剤薬局まで行くような手間がなくなるし、調剤薬局で服薬指導を受けるために順番待ちする必要もなくなる。服薬指導から薬の購入、受け取りまで全てオンラインで完結できるのである。
また、保険医療で用いられる医療用医薬品(調剤薬)は国により価格が定められているので、このサービスを利用すると薬代が高くなるということはない。登録料やサービス利用料も一切かからない。遠方まで出かけるのに負担を感じる高齢者や、多忙なビジネスパーソンなどにとっては、便利なサービスと言えそうだ。