「再興計画」と名付けた中期経営計画を遂行中の東芝。社会インフラを担う既存事業の再編、建て直しと同時に、将来を担う成長戦略にも取り組む。そこで鍵を握るのは、デジタル、データを生かしてエコシステムを作ることができる人材であると、CDOの岡田俊輔氏は語る。東芝が求めるデジタル人材像と、その獲得状況を聞いた。
今企業には、デジタル技術を武器に業務を見直し、事業を創り、そして企業を変革していく者、すなわち「DX人材」が必要だ。本特集では、DX人材の育成にチャレンジングに取り組む企業を取材し、各社の育成におけるコンセプトやメソッドを学んでいく。
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社会インフラから生まれるデータに強み
――東芝では、デジタル人材にどのような能力を求めていますか。
岡田俊輔氏(以下・敬称略) 当社は「人と、地球の、明日のために。」という経営理念を掲げ、社会インフラを中心に幅広い事業を展開しています。高速道路のETC、鉄道の自動改札機、運行システムや車両、原子力発電所などのエネルギーインフラも手掛けていますが、全ての事業で、ご存じのようにデジタル化による業務効率化は避けて通ることができない重要な課題です。そして、新しい価値を生み出し、持続的な社会を築いていくことが求められています。
デジタルを活用していくことは、もう1つメリットがあります。社会インフラの領域で生まれるデータを分析することで、システムの働きをさらに高度化することができます。当社が提供している社会インフラシステムのフットプリント(足跡)から、さまざまなデータを集めることができます。それは例えば、道路の路面の状況が分かる画像であり、水処理システムを通る水質データといったものです。
それだけでなく、複数システムのデータを組み合わせたり、当社のデータと社外のデータを掛け合わせて、新しい価値を生み出す可能性も生まれます。