東芝 上席常務執行役員 最高デジタル責任者の岡田俊輔氏(撮影:宮崎訓幸)

 「再興計画」と名付けた中期経営計画を遂行中の東芝。社会インフラを担う既存事業の再編、建て直しと同時に、将来を担う成長戦略にも取り組む。そこで鍵を握るのは、デジタル、データを生かしてエコシステムを作ることができる人材であると、CDOの岡田俊輔氏は語る。東芝が求めるデジタル人材像と、その獲得状況を聞いた。

特集・シリーズ
シリーズ DX人材 ~人材こそがDX推進の鍵

今企業には、デジタル技術を武器に業務を見直し、事業を創り、そして企業を変革していく者、すなわち「DX人材」が必要だ。本特集では、DX人材の育成にチャレンジングに取り組む企業を取材し、各社の育成におけるコンセプトやメソッドを学んでいく。

記事一覧

社会インフラから生まれるデータに強み

――東芝では、デジタル人材にどのような能力を求めていますか。

岡田俊輔/東芝 上席常務執行役員 最高デジタル責任者

1985年東芝入社。2015年東芝デジタルソリューションズ設立とともに、執行役員インダストリアルソリューション事業部長、2019年同社取締役に就任。2022年、東芝執行役上席常務CDO 兼 東芝デジタルソリューションズ取締役社長に就任。社外では、一般社団法人 量子技術による新産業創出協議会 実行委員長、ifLinkオープンコミュニティ代表理事を務める。

岡田俊輔氏(以下・敬称略) 当社は「人と、地球の、明日のために。」という経営理念を掲げ、社会インフラを中心に幅広い事業を展開しています。高速道路のETC、鉄道の自動改札機、運行システムや車両、原子力発電所などのエネルギーインフラも手掛けていますが、全ての事業で、ご存じのようにデジタル化による業務効率化は避けて通ることができない重要な課題です。そして、新しい価値を生み出し、持続的な社会を築いていくことが求められています。

 デジタルを活用していくことは、もう1つメリットがあります。社会インフラの領域で生まれるデータを分析することで、システムの働きをさらに高度化することができます。当社が提供している社会インフラシステムのフットプリント(足跡)から、さまざまなデータを集めることができます。それは例えば、道路の路面の状況が分かる画像であり、水処理システムを通る水質データといったものです。

 それだけでなく、複数システムのデータを組み合わせたり、当社のデータと社外のデータを掛け合わせて、新しい価値を生み出す可能性も生まれます。