ブルーオリジンと、シエラスペースを中心に建設が予定されるオービタルリーフ。 ⒸBlue Origin / Announcing Orbital Reef

 民間企業によるロケット開発、人工衛星を利用した通信サービス、宇宙旅行など、大企業からベンチャー企業まで、世界のさまざまな企業が競争を繰り広げる宇宙産業。2040年には世界の市場規模が1兆ドルを超えるという予測もあり、成長期待がますます高まっている。本連載では、宇宙関連の著書が多数ある著述家、編集者の鈴木喜生氏が、今注目すべき世界の宇宙ビジネスの動向をタイムリーに解説。

 今回は、米国において急ピッチで開発が進む民間企業による国際宇宙ステーション(ISS)開発の最新事情を紹介する。2031年に廃棄が予定される現在のISSの後継機を巡る競争はどう進んでいるのか。

3機のISS後継機

 1998年、ロシアのモジュール「ザーリャ」が打ち上げられたことでISS(国際宇宙ステーション)の建設が始まった。ISSは当初15年間の運用が予定されていたが、その期限はたびたび延長され、現在では2030年までの運用、2031年の廃棄が予定されている。

 ISSの運用がこれほど長期にわたって延長されてきた主な理由は、後継機の開発遅延にある。後継機が完成しないままISSを廃棄し、地球周回軌道上に中国宇宙ステーション(CSS)だけが存在する状況を、米国としては容認できない。

 米国は、低軌道(高度2000km以下の地球周回軌道)を民間に解放する宇宙政策をオバマ政権下で施行し始めたが、その結果米国では、NASA(米航空宇宙局)の支援を受けながら現在3機の民間ステーションが開発製造されている。その3機とは、「アクシオム・ステーション」「スターラボ」、そしてアマゾン・ドット・コム創業者ジェフ・ベゾス氏の「オービタルリーフ」だ。