本州でコンビニは大手3社の寡占状態にあるが、北海道でのシェアトップは1092店を展開する「セイコーマート」だ。JCSI日本生産性本部による顧客満足度指数調査(コンビニ部門)では8年連続1位になるなど、顧客からの支持も高い。地域最強のコンビニチェーンはどのように築き上げられたのか。セイコーマートを運営するセコマの赤尾洋昭社長に強さの秘密を聞いた。(前編/全2回)
■【前編】道内シェアトップ、8年連続コンビニ顧客満足度1位…セイコーマートの強さの秘密は「大手に似せない」ビジネスモデル(今回)
■【後編】店内で調理する「ふわふわ卵のカツ丼」が人気のセイコーマート 商品開発のモットーは「お客の声を聞かない」
店の半分を占める「オリジナル商品」
──JCSI顧客満足度調査で「セイコーマート」は8年連続首位を独走しています。大手3社を寄せ付けない強さの秘密は、どこにあるのでしょう。
赤尾洋昭氏(以下敬称略)コアなファンの方から高い評価をいただいているからではないでしょうか。
セイコーマートでは店内で調理する惣菜商品の「HOT CHEF(ホットシェフ)」や自社製造するPB(プライベートブランド)の商品など、他チェーンでは販売していない商品を多数取りそろえています。
セイコーマートの1店あたりの平均アイテム数は約3800ですが、タバコを除いた売上で、オリジナル商品が占める割合は約50%。「セコマにしか置いていない牛乳が好き」「店内で卵をとじたホットシェフのカツ丼が好き」と、目的買いをするお客さまの支持を得ているのだと思います。
──セコマは、まだ「コンビニエンスストア」という業態がない1971年に創業しました。
赤尾 私の父の赤尾昭彦は元々、酒卸で勤務していました。道内で3番手の卸だったそうですが、当時食品スーパーの先駆けのような業態が北海道でも誕生し、主な取引先の酒屋が潰れるかもしれないという危機に直面したのです。
当時の販売先は個人商店、デパート、ホテル、飲食店で、ウエイトの大きい個人商店がスーパーに駆逐されると、会社自体の存続の危機に関わってきます。
そんな時、父はあるメーカーの取引先向けの社報のコラムを読みます。
「アメリカでは、食品スーパーより狭い坪数の店舗で食品を販売する“コンビニエンスストア”が成長している」
父はこの業態に可能性を感じたそうです。取引先の酒屋がコンビニになることによって競争力がつけば、スーパーが進出してきても生き残ることができ、結果として取引先を確保していけると。
こうして1号店を札幌市北区にオープンした、という次第です。
──1970~80年代は全国でコンビニチェーンが乱立していましたが、2000年以降は大手3社が実質的な寡占状態を築くようになります。そうした中で、なぜセコマは生き残ることができたのでしょうか。