平和堂 代表取締役社長執行役員CEOの平松正嗣氏(撮影:栗山主税)

 滋賀県を拠点に近畿、北陸、東海地域で総合スーパーの「アル・プラザ」や食品スーパー「フレンドマート」などを展開する平和堂。全国展開の大手総合スーパーが苦境に立たされる中、「アル・プラザ草津」「ビバシティ彦根」を次々に大規模リニューアルオープンするなど積極的な投資に注目が集まる。地域に密着する店舗作りの方法、出店戦略などについて平松正嗣社長に話を聞いた。(前編/全2回)

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2024年8月7日)※内容は掲載当時のもの

■【前編】大手総合スーパーの苦境を横目に滋賀県基盤の平和堂が店舗を次々大規模リニューアルする狙い(本稿)
【後編】激安店に負けず「子育て世代」取り込みへ、平和堂が実践する地方チェーンならではの店作り

滋賀に「ジュニアデパート」を展開

──近年、総合スーパーの苦境が伝えられていますが、平和堂はお膝元の滋賀県を中心に地域住民の根強い支持を獲得できています。なぜでしょうか。

平松正嗣氏(以下敬称略) 1957年の創業以来、「地域密着」を掲げ、早い段階で衣食住が揃った、また、実用品から少し高級なものまで揃えたジュニアデパートとしてワンストップショッピング型の店舗開発を進めたからだと思います。

 滋賀をはじめとした、われわれのドミナントエリアのお客さまにとってなくてはならない存在になりたいという強い気持ちを持って運営しています。

 小売業という業態は、時代の変化に合わせて、柔軟に経営を変化させていかなければ生き残れない業態です。社是にある「豊かな暮らしと文化生活の向上」の実現を常に意識し、地域の方の生活スタイルの変化や要望に対応してきたことが一定の評価をいただいている理由だと思います。

 平和堂は、靴とカバンの販売から始まり、衣料品、雑貨販売と業態を広げ、1966年に衣料、雑貨、食品まで備えた店舗となりました。そこから平和堂の店舗展開が始まっていくのですが、琵琶湖の周りを商圏と見立てる「琵琶湖ネックレスチェーン構想」を皮切りに、滋賀県内から北陸地方、京都府をはじめとした関西と次々に出店攻勢をかけていきました。