アダストリア 代表取締役社長の木村治氏(撮影:川口紘)

 アパレル大手のアダストリアは、総合スーパー(GMS)の「イトーヨーカドー」の衣料品売り場で「ファウンドグッド」という新ブランドを展開している。2024年4月から展開する同ブランドは、アダストリアが商品企画から生産、接客指導までを一貫して手掛け、販売はイトーヨーカ堂が担っている。なぜ、アダストリアはGMSの衣料品売り場のビジネスに可能性を感じたのか。前編に続き、アダストリア社長の木村治氏に話を聞いた。(後編/全2回)

食品購入目的のお客に刺さるMDが必要

──アダストリアの新ブランド「ファウンドグッド」をイトーヨーカドーの64店舗で展開しています。どのようなブランドなのでしょうか。

木村治氏(以下敬称略) ファウンドグッドは、企画開発、商品生産、売り場での商品陳列の提案やスタッフへの接客研修まで、一貫してアダストリアが手掛けるブランドです。

 ブランド発足のきっかけは、イトーヨーカ堂さんから「商品の販売以外、衣料品売り場を全て任せる。30~40代の子育てファミリー層を獲得してほしい」というお話をいただいたことです。イトーヨーカドーの衣料品売り場の100~300坪を丸々任されるわけですから、責任重大です。

 ファウンドグッドの本格展開を前に首都圏のGMSの衣料品売り場に関する緻密なマーケティング調査を行いました。その結果、GMSの衣料品売り場で買い物をするお客さまは「食品購入のついでに、実用品や普段使いの商品をよく買う」という事実が明らかになりました。そこで、ファウンドグッドは「食品購入が来店目的のお客さまに対してアプローチできるブランド」という方向性を目指すことにしました。