SNSの誤情報に注意

 今回の「巨大地震注意」が対象としているのは、どのエリアでしょうか。

 政府は南海トラフ地震に関連し、震度6弱以上の激しい揺れや高さ3メートル以上の津波に襲われる可能性がある地域を防災対策の推進地域に指定しています。その範囲は茨城県から沖縄県にかけての29都府県、707市町村(内陸部を含む)。これらの地域はとくに今回の「注意」に伴い、地震への備えを改めて点検することが必要になります。

 「巨大地震注意」の発表を受け、自治体や企業は対策を急いでいます。太平洋沿岸の各県では防災対策本部を設けるなどして、県下の自治体に対応の強化を要請。各自治体では避難所を開設するなどの動きが出ています。

 JR東海は、東海道新幹線・三島駅〜三河安城駅間で新幹線の速度を通常より遅くすると公表。JR西日本など他の鉄道会社も運転速度を落としたり、一部列車の運休を決めたりしました。また、原発を抱える関西電力や中部電力、NTT西日本、ローソンなどの各企業は社内に対策本部を立ち上げるなどして、「万が一」に備える態勢を構築しつつあります。

 一方、岸田文雄首相は8月8日夜、首相官邸で記者団の質問に答える形で、「地震への備えの再確認と、地震が発生したらすぐに避難できる準備をしてほしい」と国民に呼び掛けました。さらに「混乱を避けるため偽情報の拡散は絶対にしないでほしい」とも強調しました。

 報道によると、SNS上ではインプレッションを稼ぎ、自らの収益につなげるための誤情報などがすでに猛烈な勢いで拡散されているとされています。「万が一」への備えは、防災グッズや避難経路の確認などだけではないのです。

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