30年以内にM8〜9クラスが70〜80%の確率で

 南海トラフ地震は、静岡県の駿河湾から宮崎県の日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域とする大規模地震です。これまで100~150年の周期で大規模な地震が発生。1707年の宝永地震のように駿河湾から四国沖の広い範囲で、同時に地震が発生したり、マグニチュード8クラスの大規模地震が隣接する領域で時間差をおいて発生したりしてきました。

図:内閣府の資料からフロントラインプレス作成
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 国の想定によると、南海トラフ地震の規模は東日本大震災と同レベルのM9クラスになる恐れがあります。2022年現在、南海トラフに沿ったエリアでM8~9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は70~80%とされています。

 被害想定も深刻です。2012年に中央防災会議が公表した想定によると、静岡県から宮崎県にかけての10県で最大震度7を観測し、沿岸部では最大34メートルの津波が発生。死者は最大で32万人超に上るとされています。

 建物の損壊は238万棟に達し、地震発生から1週間の避難者は1千万人近く。被害総額は220兆円を超すとみられています。この数字はその後、「建物の耐震化が進んだ」などの理由によって若干下方修正されましたが、甚大な被害が出ることに変わりはありません。

 ただ、早めの避難や事前の防災対策を講じることができれば、こうした被害は軽減できる可能性があります。「南海トラフ臨時情報」はその役割も担っています。