写真提供:山陽新聞/共同通信イメージズ

 物流と地球社会を持続可能にするために、今何が必要なのか。デジタル先端技術から経営戦略まで、世の誤解・曲解・珍解を物流ジャーナリスト・菊田一郎氏が妄想力で切りさばく連載企画。

 第11回は、元サンスターグループ Logistics研究室長の荒木協和氏、キユーソー流通システムの富田仁一社長へのインタビューを通じ、「メーカー(製)、中間流通・卸売(配)、小売(販)、物流(物)」の相互連携が進まない理由と解決策を考える。

連載
菊田一郎の痛快コラム「物流ミライ妄想館」

物流と地球社会の持続可能化=サステナブル化のため、今何が必要なのか。デジタル先端技術から経営戦略まで、世の誤解・曲解・珍解を物流ジャーナリスト・菊田一郎氏が妄想力で切りさばく。 

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製・配・販・物の相互理解が足りない!

 私は過去40余年、物流分野専門のジャーナリスト人生を歩む中、国内に加え欧・米・アジアの海外を含む1000件以上の企業・現場取材を重ねてきたので、物流現場の「理想と現実」をまずまず肌感覚で会得している。

 実務知識は運輸・倉庫業界のプロの足元にも及ばないけれど、物流側だけでなく、製・配・販の荷主の経営と物流事情まで把握できる立場は、なかなか貴重なものであることが最近改めて分かってきた。現在の物流分野の超重要課題、「製・配・販・物連携」の周辺取材を今も続けているからである。

 その背景をなす問題意識は、「サプライチェーン各層のプレーヤーは、互いの物流の立場の違いをイマイチ、理解できていないのではないか?」との懸念だった。個別に話を聞いていると、どうも「(相手が)あれもしてくれない、これもしてくれない」てな調子で、誤解し合っているようなフシが見えたのである。つまり、相互理解が足りてないのではないか? と。

 そこで私は、「注目業界のサプライチェーンをたどって製・配・販・物、つまりメーカー、卸、小売、物流の各層リーダーから、物流の相互連携に関するホンネの話を聞き出そう!」と思い立った。

 月イチ対談ウェビナ企画に加え、ある業界連携サイト向けにインタビューシリーズ企画を新提案し、合せて約3年にわたり食品や日用雑貨業界を軸に各層20人以上のキーマンたちに取材してきたのだ。今も途上でさらに深掘り中だが、既にいろんなことが見えてきた。

 中でも「こりゃ大問題だ!」と感じて取り上げることにしたのが、今回の長すぎる副題にもなっている「“発着合わせて2時間以内ルール”の陰で、『物流現場が頑張って解決してしまうので見えてない』問題」である。